世の中にはたくさんのコンテンツがあります。アニメ・漫画・映画・ゲーム・Youtuberとか芸能人とかもそうでしょう。今までの世の中は「権利をどう守るか」という観点がとても大事でした。ミュージシャンでも事務所と喧嘩するときには自分たちの音楽が売れてもお金が入ってこない!みたいなことになって独立とかして芸能事務所に潰されるんですよ。
ミュージシャンで権利というものを大事にしたのが、ビートルズと矢沢永吉。ビートルズは自分たちの音楽の権利をめちゃくちゃ大事にしたらしいです。それを本に書くくらい。そしてビートルズの書いた本を読んだ矢沢永吉は音楽の著作権について学んで自分がデビューしたときに権利については徹底的に詰めていったので自分の仕事で変な揉め事はしないでビッグスターに成り上がりました。
という感じです。これまではね。
現代はテクノロジーがすべてをぶっ壊しました。ユーチューブで無料で動画が配信され、視聴者たちは無料が当たり前。ネットが革命を起こしたことは間違いなく情報がスピーディに無料で拡散することは誰にも止められないエコシステムとして成立しました。そこに著作権を取り締まるにはどうしたらいいか?と考えるのはナンセンスです。ナイアガラの滝の水をどうにかせき止められないかと考えるほど無駄です。
しかし、実はコンテンツの価値は変わってないです。0から1を作る力はインターネットにはないです。現段階では。あくまでインターネットはプラットフォームです。情報を伝達する手段でしかないわけです。
はだしのゲンはコラがネットに拡散したときに止めてしまったけど、聖闘士星矢は逆に公式でコラ作成をサポートしてる。https://t.co/PE8KGJjgaV
この感覚の違いは国民総メディア時代にコンテンツの生死を別ける教科書的な判断の違いで面白い。
前者の認知度は現状維持か低下、後者は無料で向上。
— でんちゅう@ベトナム移住 (@DenchuAsia) 2018年8月22日
Twitterでつぶやいたことなんですが。2つのある漫画コンテンツの事例を使って「次世代のコンテンツ生存戦略」をわかりやすく説明しましょう。登場するコンテンツは2つあります。一つは『はだしのゲン』、もうひとつは『聖闘士星矢』という少し昔の漫画作品です両方ともアニメ化までされています。で、この2つのコンテンツをめぐってある事件がおきました。それがTwitterコラ。
漫画コラとは漫画のイチシーンを切り取ってセリフを面白おかしく変えてしまうようなコンテンツのことです。コラを作っているのは一般ユーザーです。面白いコラ、逸脱なコラはすごい勢いで拡散されていきます。『はだしのゲン』のコラが上記画像のように流行りだしたとき、作品を管理する団体はTwitter民に対して、作品は著作権で守られていることを前提にコラをしないでほしいという声明を出しました。この声明をうけてTwitterでは急速に『はだしのゲン』のコラはなくなっていきます。
それとは対象的だったのが、『聖闘士星矢』。聖闘士星矢の著作権を持つ組織はこの作品のコラが作りやすいようにコラ作成をサポートするツールを配布しました。コラ作成自体は画像処理ソフトなどを使えば簡単にできることなのですが、そもそも画像処理ソフトを持ってないユーザーには敷居が高いのでツールを提供することでコラ職人を増やす施策に打って出たのです。
Twitterは幅広い年齢層に使われるSNSです。50代以上のおじさんもいれば、10代の若者もいます。みんなが同じプラットフォームで自由に言論を楽しむプラットフォームです。上の2つの漫画はおそらく40代以上の人に馴染みが深いですが、10代20代の人の中には読んだことがない人も多くいるはずです。そこにコラ職人が漫画のいちシーンをコラとして発信することで作品に接触したことがない人は作品に興味を持ち原作を読みたくなるのです。
『聖闘士星矢』のコラ作成ツールはそこを狙ったんだと思います。すでにブームが過ぎ去ったコンテンツでも世代を超えてプロモーションすることで新しいターゲットを開拓して再び息を吹き返すこともあります。昔流行ったアーティストの曲を最近のアーティストがカバーすることで原作が売れたなんて話は音楽業界では良く聞きます。逆にそのチャンスを逃してしまえばいつかはみんなに忘れされてしまうでしょうね。
つまり、次世代のコンテンツ生存戦略は出し惜しみしないで最新のテクノロジーに載せてコンテンツを発信していくことです。伝統的な考え方では著作料のとりっぱぐれみたいな感じに映るでしょうが。じつは中長期視点でみた場合は出し惜しみしないほうが得られる利益は多くなります。時代背景はまったく違いますがクラシック音楽などが100年以上も生き続けているのはみんなが演奏してくれているからです。
そして、最新のテクノロジーにコンテンツを載せることは爆発的にすごいスピードで世の中に広がる可能性も秘めています。ピコ太郎のPPAPなんてその極みで日本の売れているわけではないお笑い芸人が一気にYoutubeでスターダムにのし上がりました。漫画コンテンツなども同じで現段階では言語の壁がありますが、近い将来自動翻訳などを駆使して言語の壁を超えられるテクノロジーが出てきた時に世界共通のプラットフォームでコンテンツを配信できれば今までのファンの数とは一桁、二桁違う人数のファンを作ることもまったく夢ではないはずです。
これからコンテンツを作って広げたり、過去のコンテンツをプロモーションしたい人は是非参考にしてみてください。