第二話「3食ハンバーガー」/恋はかみなりよけられない 〜僕の彼女はベトナム人〜

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前回までのあらすじ

ベトナムの首都ハノイ。
中国との国境から約300キロメートル、インドシナ半島に位置するこのまちは、
美人が多いことで有名。日本人のおじさんたちはベトナム人美女にたじたじになることも少なくない。
でんちゅうもその一人、ベトナム人女性と付き合うも、手の上でコロコロコロコロ転がされ。
どんぐりコロコロどんぶらこ!!

気がつけば、お金と心を消耗し、「まだベトナムで消耗しているの?」イケハヤ尊師から諭される幻を見るほどに。

そんなある日、日本語の通訳採用の面接官を務めるでんちゅうの前に一人の美人が現れ・・・
  

ケイト

面接会場にあらわれしハノイ美人にでんちゅうの心は持って行かれてました。

面接中はテンプレ質問をくりだすことしかできず、上司から「でんちゅうくん、疲れているかね?」と言われる始末・不始末!タバコの不始末、火事の元!

美人の名前はランさん。「彼女は、通訳としての経験がまだ浅いし、新卒だから採用は見送ろうか」上司の質問に「はいそうですね」とこたえ、

「不採用のメールは私から送っておきますので」。

「うむ」。

(おいおっさん。うむとか言いながら、Facebookのかわいい猫の動画、みてんじゃねえよ、まだ話終わってないんですけど・・・)

でんちゅうはタバコをふかしにオフィスの喫煙所へ向かいました。

オフィスはベトナムどローカルの雑居ビルにあり、下には緑に苔むした小さい湖が見えました。

「さっきの子、可愛かったな。でも、外国人と付き合うとうまくいかないんだよな」

でんちゅうは、走馬灯のようにベトナム女子にクリスマスどたきゃんされたことを思い出し、東京でハワイ出身のアメリカ人と付き合ったことを思い出しました。

さかのぼること3年前・・・でんちゅうは東京に住んでいました。そして無心に焦っていました。

「日本経済のシュリンク、グローバル化・・・本当に俺はこのまま今の生活を続けていていいのだろうか」

当時、齢(よわい)23歳、あとで考えれば、そんなこと考えず、とりあえずYouTuberになってあぶく銭を稼ぎながらビットコインを借金してでも1万枚くらい買っておけば、

今頃は、仮想通貨YouTuberとしてHIKAKINさんや釣りよかさんとコラボして、

「みんなで1BTC使ってマグロを釣りに行くでござるよ!ふぉっふぉっふぉっふぉピコリーン」。とかやっていたかもしれませんが、すべてはあとの祭り。

でんちゅうは真面目に「英語を勉強して、何年か後には欧米へ行って仕事をしようかな」なんて考えていました。

当時、SNSの主流はmixi。老若男女みんなmixi。友達をマイミクにして、趣味趣向の似た人が集まるコミュニティに登録して

知らない人とマイミクになって、「mixiたのしー」というのをガラケーでやっていました。今思えば逆SF。世界線が違う。

英語、英語、英語・・・英語を勉強する人が集まる、コミュニティを見ていると「ランゲージ・エクスチェンジってしってる?」というコメントが目に止まりました。

アレですか?為替の差分で儲けるみたいな、いやそれはフォーリンエクスチェンジな。普通FXって呼ぶけどな、むしろ良くその言葉知ってたな。

ランゲージ・エクスチェンジ。それは外国語を話したい日本人と、日本語を話したい外国人がmixiのコミュニティで繋がり、

オフ会をやったり、SkypeIDを交換して、無料通話で練習しあうという交流会でした。

「これ良いじゃ~ん」。でんちゅうはさっそくランゲージ・エクスチェンジのコミュニティに登録して、紹介文を書きました。

「I am Japanese I want to study ENGILISH very very want !!」

数時間ほどすると、外国人の英語スピーカーたちが返信を来れました。「Skype together !!」でんちゅうは食いつきました。田舎の釣り堀で餌を少なめにしかもらってないニジマスの如く食いつきました。

「Hello !!! I am denchu!!!」

相手の話していることはさっぱりわかりませんでしたが、何人かとSkypeで通話する中になりました。

その中にケイトがいました。

ケイトはハワイからやって来たアメリカ人。話していると、僕の家の近くに住んでいることが分かりました。

「サンシャイン水族館へ行きましょう」。

僕たちはお互いの家の中間くらいにある、池袋のサンシャイン水族館へ行くことになりました。

ケイトとリアルで会ってすぐは緊張をして何も話せませんでしたが、向こうが日本好きということがあり、

すぐにうちとけました。サンシャイン水族館へ行き、アザラシって近くでみるとちょっとキモいなと思いつつも、

多種多様な世界の魚たちを堪能している間にケイトは寿司を食べに行こうと切り出しました、(えっ!?)と思いましたが、うまく英語で切り替えせず、回転寿司に行きました。

「わたし寿司とセーラームーンが好きなの」。

アメリカ人。自己主張が強いです。ケイトは日本文化に興味があり、英語教師として日本に来ていました。日本語が使えるわけではないので、幼児〜小学生くらいの子供に英語オンリーで簡単な英会話を教えているということでした。

一瞬カルチャーショックを受けましたが、以外に英語で話せたことがうれしく、2人の会話は盛り上がり、そのあとサンシャイン60の展望台へ行ったことで”吊り橋効果”が発動し、

僕たちは付き合うことになりました。

ケイトとのデートはたいてい、金曜か土曜の夜にケイトのうちにお泊りして、翌日は東京近郊へ出かけたり、ケイトの家で映画をみたりという感じでした。

僕にとっては東京近郊を観光するってあんまり特別感がなかったのですが、ケイトはアメリカから来ていたのでもう大興奮でした。

そのとき、外国人がよろこぶ東京の観光スポットは一通り学びました。浅草寺はガチ鉄板!

しかし、楽しい日々は長くは続きませんでいた。半年後。僕たちは破局しました。理由はさすがに朝食にモス、昼食にマック、夕食にドムドムバーガーというコンボに僕の胃袋が耐えられなかったからです。

ケイトとは、半年という短い期間ではありましたが、今、僕がカタコトで英語が話せるのはケイトとの付き合いがあったからだなあ、と感謝の念がわきあがってきました。

そんなことを考えていると、湖に夕日が落ちあたりを赤く染めていました。曇りがちで空気汚染のひどい場所は夕日がよりいっそう赤く見えるといいます。ハノイは両条件に当てはまっています。

ハノイが東南アジアのロンドンといわれる、ゆえんであります。<つづく>

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