〇〇しなければ、ベトナムでのオフショア開発は失敗する時代に突入した

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「日本では採用が困難、あるいは超高額報酬を出さなければ獲得不可能な優秀なエンジニアがベトナムでは獲得可能」。こんな話を聞いてベトナムへ視察へ訪れる日系IT企業は未だに結構多い。

「これからはやはり、海外に人材を求めないと生き残っていけないと思いまして。日本の受託開発案件の一部をベトナムオフショアチームで開発してコスト削減しようと思います」。
日本の大手システム開発会社の人とベトナムハノイで話した時にこんな言葉が出た。僕は答えた。「おそらく、御社の取り組みは失敗しますね」。

転職市場に優秀なエンジニアなんてもういない

日系企業というだけで優秀なエンジニアがごっそり取れた時代はすでに終わっていることを知らない日本人は多い。ベトナムオフショア市場で流動している人材はほとんどが日本の仕事の経験が無い、ベトナム企業からの転職者や、新卒ばかりである。彼らがいきなり日系企業に入社して数ヶ月程度の研修などで日本の仕事ができるようになるとは思わないほうがいい。

・仕事の仕方の違い
・品質に対しての基準の違い
・システム開発のルールに対する認識の乖離
・コミュニケーション・ロス

こういったギャップを埋めるのには大分時間がかかる。もしも、日本の仕事未経験の人材を採用して育てるならば、数年スパンでの採用・教育計画を覚悟しておかないと、まずベトナムでマネージャーをする人間は仕事が嫌になって会社をやめるかうつ病になる。

コスト削減は時代遅れ

そして、良い人材が仮に見つかったとしてもオフショア開発のメリットを”コスト削減”しか掲げられない会社に未来はない。たしかに、ベトナムオフショアが脚光を浴びた2005年〜2012年くらいはわかりやすいコストメリットがあった。円高も影響してベトナムオフショアである程度の人材を抱えていれば、あとは日本でそこそこの仕事を取ってくるだけで大きく利益を上げることができた。今はまだコストメリットがある。参考給与としては英語が話せるシニアエンジニアで月給1000ドルくらい、日本語が話せるブリッジSEなら月給1500ドル〜2000ドルの範囲で働いてくれるだろう。しかし、日本の感覚で考えていると痛い目に会う。ベトナム人エンジニアの年収の上昇率は10%前後この増額基準に合わせて行けなければエンジニアは去っていく。

優秀なエンジニアは職を選ぶようになった

かつて、ベトナムにいた優秀なエンジニアはどこへいったのか? 彼らはベトナムからいなくなったわけでも、SEを辞めたわけでもない。彼らはベトナムにいる。しかし、彼らを取り巻く環境が変わってエンジニアは職を選ぶようになったのだ。彼らの多くが志望する企業のタイプは2つに別れる。

① 高待遇が保証される大手企業。待遇はベトナムトップクラスで日本や世界でのブランドがあることが必須となる。意外かもしれないがベトナム人は現金の次にブランドを意識する。彼は結構見栄っ張りなのだ。
② 事業会社、または面白いスタートアップ。お客さんのシステムを言われたように開発するのはいつか飽きがくることにベトナム人の優秀なエンジニアは気がついた。同時に自分たちの国にも自社サービスを開発している会社や新技術に取り組む会社が結構あることにも気がついた。優秀な人材は自分たちのスキルを使って数年後に「跳ねる会社」で働く選択肢を取るのだ。

優秀な人材は大抵この2つのどちらかの選択肢を取っている。記事を読んでいる方の中には「どこかで聞いた話だなあ〜」と思った人もいただろう。実は日本やシリコンバレーの人材事情とまるっきり一緒なのだ。優秀な人材ほど、受託開発をやりたがらない。ベトナム人はもはや日系企業に良いように使われるフェーズを抜けて、自分たちのキャリアや夢のために動き始めているのである。

どうすれば採用できるのか?

そうは言っても、「ベトナムで日本の受託を一緒にやってくれるメンバーを採用したい!」という方にこっそり受託開発会社でも優秀な人材が採用できるコツをお教えしよう。まず1つ目は「日本に行ってスキルを学べる」あるいは「日本人が技術指導する」という謳い文句で採用すること。社内調整が必要だろうが、そこはなんとかしていただきベトナム人エンジニアに日本流の仕事の仕方が学べることを押すのだ。優秀な人材の一部には未だに「日本信仰」を持っている。特に「日本で技術が学べる」なんて言えたら最高に刺さるはず。

2つ目は無理矢理でも新規サービスを作る計画を立てて、求職者にアピールすることだ。嘘はあとでバレて結局人材流出を招くので社内である程度の覚悟が必要だが、年間数百万程度の予算を取って、自社の新サービスの開発やR&Dに投資することがイコール人材採用の費用対効果を高めてくれる。

このようにベトナム人エンジニアのニーズをくんだ採用活動をしなければベトナムでのオフショア開発は失敗する時代に突入したのである。

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